今更ですが、秋だけど夏バテ??

こんにちは。
横浜中華街のひいろです。

今回のお話の大まかな内容を書いたのが2020年、108日(木)でした。
この日は二十四節気の一つ「寒露」。
色々あって文章をまとめて発表するのがすっかり遅くなってしまいました。
今更な感じもありますが、大切なことなのでぜひ知って頂きたく発表することにしました。
(デビューするとか、そういう話ではないのでご安心ください)

 

108日あたりになると、秋はさらに深まり、寒さがだんだんと厳しくなっていく頃でした。
台風14号が来ているためか、急激に温度が下がったのを覚えています。

その前後に来院された日系アメリカ人の患者さんが「夏バテです。とても疲れます」と言われていました。
夏の暑い時に食欲が低下し、身体を動かすのも辛く、やる気が出ないというのが夏バテかもしれません。

夏の「夏バテ」

冷たいものを食べたり、飲んだりしたことで胃腸が冷え、体内に余分な水分が溜まった状態、もしくは疲れた内臓が食べ物を消化できずに体内に停滞していることが考えられます。

漢方では

・水毒(体内の水の代謝が低下して正常な生理機能が行われなくなる)
・食滞(内臓機能の低下により食べたものが消化されないで体内に滞る)
・脾の運化作用の低下(消化器系の動きが低下すること。その結果、食滞を生じることになる)

しかし、8月下旬頃から上述の症状を訴える方々が少なくありませんでしたが、このアメリカ人の患者さんが言われていたのはいわゆる秋の初め頃に感じる「夏の疲れ」のことだったようです。

春夏秋冬の運動法則

天地、宇宙、自然界の運動法則(昇降、出入、開合など)はひと時も休まることなく続いています。
そして、中国医学では人も天地、自然界の一部と考えます。
この運動法則に基づいて身体も変化します。

春になると冬眠していた虫や動物が穴から這い出てくる季節(啓蟄)。
そして、植物は発芽します。この運動法則を「生」と言います。

夏になると樹々は生い茂り、葉は青々と成長します。この運動法則を「長」と言います。

秋になると紅葉、落葉、そして、木の葉は大地の帰っていき、木の栄養分になります。そして、秋と言えば、食欲の秋。農作物の収穫を頂き生命力を養う季節です。この運動法則を「収」と言います。

冬は虫や動物は冬眠し、寒い季節は静かに気を養い、翌年の春に備えるのです。この運動法則を「蔵」と言います。
これらが自然界における四季の移ろいです。

天地は循環し、自然界は春夏秋冬、それぞれの様相を呈して現象として目の前に現れます。
生長収蔵は常に循環し続けています。

春:生
夏:長
秋:収
冬:蔵

春は新陳代謝が活発になり、万物が栄える季節。気持ちをゆったりと保ち、庭を散歩するように過ごすのが春の過ごし方です。

夏は暑いのが正常であり、日の光を浴び、汗をかくことで体内に溜まった老廃物を排出し、怒ることがないように過ごすのが夏の過ごし方です。

秋は空気が乾燥し、粛々とした気持ちになります。夏の間、汗とともに老廃物質を体外に排出したからこそ、身体の中に新たに「物資」を受け入れるだけの空間が生まれます。このような状態であって初めて「食欲の秋」を受け入れられる身体の準備が整います。

冬になると、水と大地は凍てつきます。陽気を邪魔することをしてはいけません。必ず日の光を待って起床するというのが昔の人の養生法になります。精神状態としては、まるで何か秘密を隠し持っているような静かに過ごします。

新型コロナウイルスが与えた影響を考える

さて、ここまで読んで今年は昨年と大きく違ったことがあることに気づきましか?
今年、2月下旬から3月初旬頃より新型コロナウイルスにより人々の生活は一変しました。
外出することを避け、人に会わず、自宅に引き籠る生活になりました。外食して人に会うこと激減しました。春はゆったりと散歩するように過ごすことが大切です。
そして、夏は、その暑さと共に気を発散・開放し、成長していく季節です。

このベクトルと性質を「生」といいます。
「生」ができないと次の季節である秋に「収」できなくなります。
つまり、「生」が順調に行われないと「長」が十分に行われなくなります。「長」が順調でないと「収」が十分に行われません。「収」が不十分だと「蔵」も不十分になります。「蔵」が不十分ですと「生」も不十分になります。

つまり、これらの生長収蔵という一連の流れ(これらを「円運動」と言います)が十分に行われないと病気になるのです。
最近、喘息や咳、皮膚の症状が悪化している人が非常に多いです。これは夏の不摂生(身体の内と外を冷やし、日の光を浴びないなど)により症状が出ている可能性があります。

 

時計回りに変化していきます。「立春」から「穀(谷)雨」が春。「立夏」から「大暑」が夏。「立秋」から「霜降」が秋。「立冬」から「大寒」が冬。生→長→収→蔵の順番で循環しています。この運動法則に従っていれば病気にならず、生命力を保つことができるというのが中国医学の根底にあります。

最近、身近な人で急死する方々の話を良く耳にします。
このことも今年は生活習慣の変化が与えたことと大きく関係していると思います。
おそらく史上で最も人々が動かない生活が続いているのではないでしょうか。

これから冬至にかけて、さらに体調を崩す人が増加する可能性があります。
冬至は「一陽来復」、陰が極まり、陽気が生じる時です。この時、陽気はまだ未熟なのでしっかりと大切に保つ必要があります。

今年は忘年会もなさそうなので身体には良さそうなので、しっかりと気を養いゆったりとお過ごしください。
すでに年末のような文末となりましたが、急激な温度変化に気をつけてお過ごしください。

そういう訳で、再見!

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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