スポーツ障害・運動による疲労と鍼灸治療

こんにちは。
日色鍼灸院のひいろです。
気づけば昨年の12月からブログの更新をしていませんでした。。。
いやぁ、時の流れは速いですね。
世の中、色々大変なことになっていますが気を養い治療に臨む日々を過ごしております。

 

さて、最近、有名なアスレチックトレーナーの方が海外の複数の論文を読んだ結果、運動後の疲労回復には鍼灸治療ではあまり改善が見られなかったということをTwitterでつぶやいておられました。
リツイートしてどのような論文だったのか?聞こうと思ったのですが引っ込み思案なおじさんなので躊躇ってしまい、何かを尋ねるところまで行きませんでした…。
ものすごく気になるのは

  • 誰が(どのような治療者が)?
  • 誰に対して(アスリートなのか、一般人なのか、普段運動習慣がある人なのか)?
  • どのような鍼灸治療を?

行ったのかということです。

 

中医学的にも、個人の経験的にも言えることですが、基本的には体力がある人は回復力があります。
回復力があれば疲労回復しやすいです(当たり前ですが…)。
中国医学的にいうと、回復力・体力があるということは生命力である気血が充実している状態にあるということです。

厄介なのは、回復力がないのに、

 

  • 週に何回(1回の運動60分以上を3~5回以上)も運動する習慣があり
  • 睡眠時間が短く(6時間以下)
  • お酒を飲む習慣があり(ほぼ毎日という人もいる)
  • 好きなものを好きなだけ食べる(食後のデザートはばっちり!)

人です。
このような方は鍼灸治療でもマッサージでも整体でもオステオパシーでも方法は何でも良いのですが、治療をしても回復しにくい傾向にあるようです。

 

なぜならば、

 

  • 回復力がない → 気血不足
  • 週に何回も運動する習慣がある→ 労則耗気(「労すれば気を消耗する」という中医学の原則の一つ)
  • 睡眠時間が短く→陽気が回復しない(子刻、夜11時から1時の「一陽来復」で養うべき陽気を消耗する)
  • お酒を飲む習慣があり → 寒湿内盛、陽気の消耗、傷肝
  • 好きなものを好きなだけ食べる→脾の運化作用の低下、食滞

ということが常に起こり続けています。

 

例えるならば、治療が「お金を稼ぐ・貯蓄する行為」とするならば、上記の行為は「お金を浪費する行為」になります。
お金が入ってくるよりも、使って出ていく額が多ければいつかは破産することになります。

 

昔は整形外科領域の症状や筋骨格系・運動器の治療はあまり好きではなかったのですが、栗原修DCの講義を受けて身体の構造、運動機能について学んでから前よりは治療効果も向上したようです。
中医学の経筋の考え方に解剖学、バイオメカニカルアプローチ、それからAK(アメリカのカイロプラクティックの流派の一つであるアプライドキネシオロジー)を加えることでスポーツ障害に対しての治療がより円滑に行うことができるようになりました(栗原DC、超絶感謝合掌)。

 

治療だけでなく、上述の生活習慣の改善、すなわち養生法を取り入れることで運動後の疲労回復はそれほど難しくないように思います。
多くの方が「運動をしたら、そのままで何もしない」ことが多いです。
運動していれば健康になるというのは大きな間違いです。
運動すれば、必ず疲労します。
疲労したならば、回復させる必要があります。
元気な人や子供は疲労しても一晩寝れば自然に回復します。

 

しかし、そうでない人は運動して回復させないと疲労が抜けません。
そこで運動するとさらに疲労が溜まります。
これを繰り返すと近い将来、ケガをします。
ケガをしなくてもパフォーマンスは必ず低下します。
パフォーマンスが低下するので、頑張ってトレーニングに励むか、力んで緊張した状態で運動することが続くので、さてに疲労が蓄積する、という負の連鎖に陥ります。

 

こうなると運動が楽しくなくなるでしょうし、ケガをするリスクが高まってきます。
やはり、楽しく健康的に運動を続けるためには、自分自身の身体を観察する能力を高め、疲労を早い段階で処理することが元気にトレーニングするために必要なことなのです。
その一助になるのが鍼灸治療であると感じています。

 

昔、鍼灸学校では「筋肉痛に対して鍼灸治療は改善させることはできない」と習った覚えがあるのですが、日々の臨床を通して、学校の教えは正しくなかったと知ることができました(俗説だったのか、誰かに聞いたのか記憶が定かではない僕自身が心配ですが)。

 

身体が整えば自然に症状は治るし、運動機能は勝手に向上するようです。
治療家ができるのは、鍼灸治療を通して、その方の身体を整え(陰陽を調整するとも言えます)、回復する力の下地作りのお手伝いをすることなのだろうな、と感じている今日この頃です。
生命力が低下している人にはこちらがいくら頑張ってもあまり改善が見られないようです。
生命力を高める方法としては日々、自分自身で取り組む養生が重要になってきます。
ただ単に、病院に行けば何とかなる、この漢方薬を飲めばいい、あのサプリメントを飲めばいい、この治療を受ければ治る、ということではないようです。

 

最初の話に戻りますが、しっかりと生活習慣を整え、鍼灸治療をすれば、運動後の疲労回復には十分な改善が見られると実感しています。
これが僕の思い込みなのか、来院される方々の思い込みなのか、信じるか信じないかはあなた次第!(それがオチ?!)

 

冒頭の書き込みを読んでモヤモヤしていたので、久しぶりの投稿がスポーツと鍼灸になりましたが、ネタは色々溜まっているのですが、ブログの記事を一つ書き終えてアップするまでに最低でも90分を要します。
最近は自分の練習(色々なこと)と勉強(講義の準備とか色々なこと)や子供の歯磨き(一人5分くらいだけど)や妻と子供たちの治療(子供からの注文がすごく多く、けっこうしつこい)に取り組んでいると寝る時間になってしまうというのが、今年になってから続いています。

 

次回更新がいるになるか全くわからない状況ですが、引き続きよろしくお願い致します。
そういう訳で、今日はこれにて失礼します。
再見!

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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