睡眠の質を上げるためにはどうしたらいいのか?

ひいろです。
昼間、弟に治療してもらったため、とても眠いです。
でも、今夜も頑張って文章を書きます!

さて、今日のテーマは「睡眠の質をよくするためにはどうしたらいいか?」です。

よく聞かれる質問の一つに「夜よく眠れないのですが、どうしたらいいですか?」というものがあります。

まず、高齢者の方に多いのは、昼間、テレビを見ながらウトウトしてしまい、気が付くと眠っている、ということです。
だいたい、このような方が言うのは「先生…、夜、全然眠れないのです」と。
昼間、全然動かないで昼もしっかり寝ていたら、そりゃあ、眠れませんよね…。
それで夜も寝ようとするのは無理がありますよね。
かかりつけの病院で不眠です、と言って睡眠薬を処方してもらうのです。
昼寝した上に、夜は睡眠薬を飲んで眠りにつく…。だけど、昼寝しているからやっぱり眠れず。
次の日、薬の効果が抜けないから、やっぱり昼間眠たいので、昼寝をする…(上に戻る。繰り返し。)

なんだか、「世にも奇妙な物語」に出てきそうな無限ループから抜け出せないという話でありそうですよね。
「眠れない」というタイトルで。
でも、本当はぐっすり寝ているという…。
肝臓の解毒作用が落ちるので、血液が汚れて他の不具合が生じそうです。
上記のような高齢者の睡眠改善の対策としては昼寝を止めることをおすすめします。
上記の例は、冗談のようで、大真面目によくあるお話です。

ところで、あなたはよく眠れないことがありますか?
睡眠の質が悪い方に共通していることを見つけました。

それは
・夜、食事をする時間が遅い。
・間食をよくする。
・お腹が空かない。

ということです。

麻辣香鍋。口の中がしびれる「麻(マー)」の味がたまりません!ごはんのお代わりが止まりません!

中国医学では2000年前から消化器系と睡眠について指摘しています。
「胃不和則卧不安」(『素問・逆調論』)という記載があります。
「胃が和やかでなければ、よく眠れないよ」という意味です。
世界最古の字典『説文解字』には「臥、休也」とあります。

寝る前に食べ過ぎると消化に力を使う必要があり、休息に力を使うことができないために睡眠の質が低下するのです。
夜中に何回も目が覚める、寝つきが悪いなどはそのためです。

先日、来院された方が背中の痛みとともに不眠を訴えていました。
よく聞くと夜11時に息子さんの帰宅に合わせて、息子さんと一緒にとんかつをお腹一杯食べてしまうというのです。
本日、2回目の夕食です(笑)。
しかも、おやつにチョコレートがコーティングしてあるドライフルーツを7袋食べるというのです。
小さな包装といえども、7袋はやり過ぎですよね。

食べ過ぎている方の背中、特に腰の少し上にある胃兪と脾兪という消化器系と関係するツボがパンパンに張っています。

あなたはどのくらいが食べ過ぎと思いましたか?

胃兪と脾兪がガチガチに緊張していれば、食べている意識がなくても食べ過ぎです。
体調によっても食べ過ぎか否かは変わります。
例えば、普段は「10」の量を食べても体調が変わらなかったとします。
しかし、残業や飲み会などが続き疲労を感じている時は、それほどお腹が空かないはずです。
このような時に、「6」の量を食べても食べ過ぎとなる場合もあります。
「お腹が空かない」、「便秘」、「身体が重い」などの症状がある場合は気の流れが悪くなっています。
内臓の動きが低下していることが考えられます。

それでは、もう少し中国医学的なお話をしていきます。
脾臓は消化を司ります。現代医学の「脾臓」とは異なります。
ここがややこしいですよね。
特別な断りがない限り、中国医学のおける臓腑を指していると思ってください。

脾臓と胃は非常に密接な関係にあり、消化吸収を行っています。
ですので、よく「脾胃」という表現をします。
「脾胃」と言ったら、「消化器系統」のことを言っていると覚えてくださいね。
面白いのが、中国人に「你的脾胃不好(あなたの脾胃はよくありません)」というと伝わるのです。
さすが中国ですよね。

脾胃の気機の乱れは全身の気血の流れを停滞させます。
気の運動法則は「昇」、「降」、「出」、「入」です。
文字通り「昇って」、「降りて」、「出て」、「入る」です。
漢字圏に生まれて良かったです。
本当に便利です!

例えば、「胃」と関係する「足之陽明胃経」の気は下ります。
下がるべき気が下がらないと便秘、胃痛、お腹が張る、食欲不振、げっぷなどの症状が出現します。

睡眠の質の低下がするとほかの問題を生じます。
「故人臥血帰於肝」(『素問・五蔵生成篇』)、つまり、「人は横になって休むと血が肝臓に帰ります」ということです。
これは現代医学とも合致します。

『素問』の中に王冰という人が書いた注があります。
そこには「人動則血運於諸経、人静則血帰於肝蔵」とあります。
「人が動くと血は諸々の経絡に運ばれ、人が静かにしていると血は肝臓に帰っていく」というのです。
静かに休めないと肝臓にもダメージが蓄積するということです。

さて、話を脾胃に戻りますが、食べ過ぎて消化器系に負担がかかっている人にはしばしば浮腫みも認められます。
『素問・至真要大論』に「諸湿腫満、皆属於脾」という記載があります。
すなわち、「各種の水湿停滞による浮腫、脹満は全て脾臓に属する」という意味です。
これは脾臓の飲食物の消化吸収と栄養の運輸が正常に行われないため、気血が停滞し浮腫みが生じるためです。

また、「脾悪湿」(『素問・宣明五気論』)という有名な文句があります。
これは、「脾臓は湿気を嫌う」という意味です。
ですので、一日2リットル水を飲むような流行りの健康法は中国医学的には病気の原因になるとしか言いようがありません。
もちろん、水分代謝が良い人や元気な人は別です。

つまり、食べ過ぎの判断は身体を観察して決める必要があります。
お菓子を食べるくらいでしたら、ご飯をしっかり食べて下さいね。

最後になりましたが、今日のお話は、簡単に言うと「身体と相談して食べてくださいね」というお話でした。

それでは、再見!!

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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