ひいろです。
最近、毎日中国医学の文献(中医文献といいます)を見ているので、辞書や辞典を調べる機会が増えています。
北京に留学中は、文字を探す速度が圧倒的に中国人学生より早かったのですが、5年の間に遅くなってしまったので驚きました…。
当時は「目(め)Google」と名付けていたのですが、ページを開くとその文字が目に飛び込んでくる感じでした。
2011年からアップデートされていないようです…。
パソコンは5年も経つと買い替えの時期ですよね。
頑張ります!
さて、健康であるか否かの判断の一つとして、ごはんが美味しく食べられるかということがあげられると思います。
また、夜はしっかり眠れることも大切ですよね。
さらに、すっきり排便ができるかということも重要な要素の一つでしょう。
僕を含めて、便秘知らずの人はいいのですが、お通じがなくて本当に苦しいという方も多数当院を訪れられています。
それでは、便秘とはどのような状態をいうのでしょうか?
日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」を便秘と言っています。
また、日本消化器病学会では「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔が不規則で、便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す」としています。
ただし、「明確な定義があるわけではない」とも言っています。
では、具体的に便秘とは一体何でしょうか?
・排便の回数が減る
・排便が困難
・排便はあるがすっきりしない
・排便がない
というのが便秘の症状になりますが、便秘を客観的に定義付けようとするのはなかなか難しいのです。
なぜならば、2~3日に一度、すっきり排便し、お腹の苦しさがなければ便秘とはいえません。
しかし、1日一度でもすっきりとお通じがなければ、便秘といってもいいでしょう。
また、治療対象となるのは
・便の量および回数が非常に少ない場合
・非常に硬くて排便が困難な場合
・排便後に残留感がある場合
「本人に全く苦痛がなく、日常生活に支障がなければ、基本的には処置をする必要はない」というのが現代医学の考え方です。
それでは、中国医学では便通についてどのように考えるかご紹介します。
『霊枢・平人絶穀』によると「平人日再後」と記載されています。
「平な人は日曜に再び後ろに???」
よくわかりませんよね(笑)。
実は、「平人」とは病のない人、すなわち、「健康な人」といいます。
「日」は「太陽」、「以前」、「毎日」などの意味がありますが、ここでは「毎日」という意味をとります。
現代中国語では「再」は「再び」という意味で使いますが、古代漢語(古文)において「再」は「二回」という意味に限定して用いられます。
中国医学では「腎は二陰を主(つかさど)る」といいます。
「二陰」は「前陰」と「後陰」に分けられます。
「前陰」は生殖器を指し、排尿と生殖機能を含みます。
「後陰」は肛門をいいます。腎臓の封蔵作用により生命エネルギーが外に漏れないように、しっかりと留めてくれます。
「腎」は先天的なエネルギーなので、加齢とともに減少していきます。
そのため、腎が衰えた高齢者には尿漏れ、失禁、頻尿などの症状が現れるのです。
ちなみに、便が形をなしているのは腎の封蔵、固摂作用によるものです。
この原文における「後」は「大便をする」という意味です。
つまり、「健康な人は一日に二回大便をする」という意味です。
後漢末の辞典『釈名』によると「腸、暢也」とあります。
「暢(ちょう)」は「とどこおることなくよく通じる(『漢辞海』三省堂)」という意味です。
小腸、大腸は常にとどこおらない状態が健康であるのです。
また、『素問・霊蘭秘典論』に「大腸者、伝道之官、変化出焉」とあります。
「大腸は伝道(導くと同じ)の官であり、食べたものを糞に変え、体外に排出する」という意味です。
中国医学の理論の中で「肺」と「大腸」は一つのグループと考えます。
肺の「粛降(しゅくこう)」作用が大腸の「伝導(でんどう)」作用を助けています。
「粛降」は簡単にいうと「下降する」という意味です。
肺の粛降作用が弱ると、気が下がらないので咳が出ます。
肺は胸の上に位置し、大腸は下腹部にあります。
例えば、ストローに水を通したまま指で上の穴を塞ぐと、空中でも中に溜まった水は下の穴から漏れません。
指を離して、上の穴を解放すると下の穴から水が出てきます。
そのため、カゼを引いた時、肺の粛降作用が正常に機能しなくなるので、便秘することがあるのです。
今日は、現代医学における便秘のおおまかな症状と中国医学のいける大腸の作用についてご紹介しました。
次回は中国医学における便秘の種類と原因と対策、そして、けっこうみんなやってるNG!行動についてお伝えしますね。
それでは、明天見!!
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