毎日、出ていますか?便秘について(2)

ひいろです。
今日は朝から昼過ぎまでセミナーでした。
今日の内容は、治療系・武術のセミナーにおける、まさに極意を教えてくれました。
最近、ますます面白くなってきています。時間とともにその凄さを感じています。
ただ、研究会の名前は本気なのか冗談なのかよくわからないという、内容と名前のギャップがものすごいです。
おかげで、午後の治療は静かに淡々と確実にできました。
自分の状態が安定していると、たくさん治療しても全然疲れないのですね。
明日の治療も楽しみです!

さて、昨日は便秘の症状と中国医学的な大腸の生理作用についてお伝えしました。
まだのお読みになられていない方は「毎日、出ていますか?便秘について(1)」をご覧くださいね。

まず、便秘と言っても種類があります。
当然、病態と原因も異なります。
中国医学の便秘の分類についてです。
僕が日々の治療で最も多いと感じている便秘の一つである「寒秘」。
これは文字通り、冷えによっておこる便秘です。

寒秘の人の食べ物、飲み物の好みとして冷たいものをよく摂取します。
中国医学では舌を診て身体の状態をチェックする「舌診」があります。
寒秘の人の舌には白い苔が厚く見られることが多いです。
あなたも朝起きたら鏡で舌の状態をチェックしてみてください。
飲み会でビールや水割り、ロック、カクテルを多く飲み過ぎた次の日の舌は真っ白なはずです。
単発で飲み過ぎた場合は短期間で回復することが可能ですが、習慣化されている場合は要注意です。

ストレスにより気の流れが停滞することによっておこる「気秘」があります。
肝気鬱滞により、肝臓の「疏泄」作用の低下により経絡の気が滞ることが原因の一つです。
現代医学でいうところの「痙攣性便秘」と言えるでしょう。男性に多いようです。
また、生命エネルギーである「気」や「血」が少なくなることでおこる「虚秘」があります。
「肺主気(肺は気を主る)」という言葉があります。
肺の粛降作用により大腸の伝導作用が順調に行われ、排便が自然におこります。
中国医学では「気」と「血」の関係を「気為血之帅、血為气之母」と表現しています。
すなわち、「気は血の総帥であり、血は気の母である」というのです。気がめぐるので血はめぐります。
「気中有血,血中有気、気与血不可須臾相離、乃陰陽互根、自然之理也。『難経本義』」
つまり、「気の中に血はあり、血の中に気はあす。
気と血いっときも離れられない。陰陽は互いに根ざしているという自然の摂理である」ということです。
「気行乃血流(『素問・五蔵生成論』)」と王冰は言っています。
「気が行けば血は流れる」と。
ですので、気と血が虚すれば便秘になるのです。

大腸に熱がこもってしまい、便秘になる「熱秘」もありますが、僕個人としては臨床上あまり見たことがありません。
陽気が偏在したものが熱の症状です。陽気が症状のある部位に過剰にある状態が「熱証」です。
語弊を恐れず申し上げますと、中医学の教科書でいうところの「陽虚」というものは存在しないと僕は思っています。
「陽気」についてはまたの機会にお伝えしますね。

そして、この種類の便秘も非常に多いです。
それは「食滞」により腑気が不通することにより起こります。
簡単に言うと食べ過ぎです。食べた物が内臓につまってしまい便秘になると考えます。
食べ過ぎると内臓が消化しきれず、疲労した状態に陥ります。
内臓がオーバーワークにより「もう働けないよ!これ以上動けないよ!」という状態とも言えるでしょう。
一番の対処法は食べる量を減らすことです。
軽い便秘の場合、お腹が空かなければ1~2食抜くだけで便通がよくなりますよ。
別に断食が身体に良いとは思いませんが、内臓を休ませてあげることは非常に大切です。

何だったか忘れましたが、美味しかったです!

それから、あなたはきっと「便秘に効く漢方薬はないの?」と思いましたよね?
原因を明確にしないで「便秘に効くとされている漢方薬」を飲むのは危険です。
また、「漢方薬は副作用が少ないから安心」と思っていませんか?
そんなことはありません。
正しく服用すれば大いに健康を回復させてくれますが、間違った飲み方をすれば著しく健康を損ないます。

例えば、決明子(ケツメイシ)。この薬は「清熱薬」です。
性味は甘、苦、鹹、微寒。
作用は「清熱明目」、「潤腸通便」。
身体を冷やす性質があるので、冷えによって起こっている便秘には禁忌です。

センナも有名ですよね。生薬名を「番寫葉」といいます。
性味は甘、苦、寒。効能は「寫下通便」、「行水消脹」。
この薬は内臓が非常に冷えます。

安易に飲むのは絶対におすすめしません。
また、生薬であるセンナ由来の下剤である「アローゼン」があります。
多くの人が「漢方薬からできている下剤だから安心」と言って飲んでいます。
知人の内科医から聞きましたがそう簡単には処方しないと言っていました。
副作用が非常に強いというのです。
ネットで調べても「副作用が少ない」と出てくるのですが、違和感を覚えるのは僕だけでしょうか…。
本当はここで書きたいのですが、お会いした方にお伝えしますね。

あと、よく聞くのが水分の大量摂取や起床時に冷水を飲み干す、牛乳をたくさん飲むなどがあります。
もうね…、本当にやめてください。お願いします!!
それで出るのは内臓がびっくりして便意を催しているだけであって、決して自然なやり方ではないのですよね。
よく考えてみてください。
上司や先輩でも誰でもいいのですが、あなたに対して「おら!!さっさと働け!!」
と言って、バケツで氷水をぶっかけてきたら嫌じゃないですか??
そんなことを毎朝やられたらたまらないですよね?
でも、あなたは自分自身にやっているのですよ。
仮に、奥さんや旦那さんがあなたに冷たくしても、せめてあなたはあなた自身にやさしくしてあげてくださいね。
仮にですよ、仮に。

それから、浣腸を多用しすぎると、腸が刺激になれてしまうため、浣腸なしでは排便できなくなってしまいますよ。
また、体力が落ちている人に浣腸はお勧めしません。
気を消耗します。

それから、よくやってしまいがちなのは、「便秘には食物繊維!」ということ。
これは体力がある人はいいかもしれませんが、特に内臓の消化力が落ちている人がやると大変ですよ。
玄米、野菜、サラダ、果物、藻類、コンニャク、ゴボウなど。

近所のおばあちゃんが便秘だからと言って玄米を毎日食べていたのですが、更に便秘になりました。
まさに「食滞」が産生されてしまったのです。
サラダ、キャベツ、コンニャク、ゴボウなども身体が冷える性質があるので、身体の冷えている人は逆効果です。
便秘が治ったとしても今度は慢性の下痢に悩まされる恐れがありますよ。

以前、治療していた50代の女性。
頑固な便秘に悩まされていました。
毎日アローゼンを飲んでいるのですが、全く効き目がありません。
サプリメントじゃないのですから…。
やはり、冷たい飲み物、アイス、サラダが大好きでした。
全て止めてもらい、内臓、身体を温め、気血の流れをよくする治療をしました。

すると、10年来の頑固な便秘が2週間もしないうちに毎日1~2回自然に便が出るようになりました。
非常に簡単なことです。
冷えを解消すればいいのですから。
この方は非常に強力的だったので、理想的な治療効果が得られました。
食べ過ぎていて便秘になるのならば、食べ過ぎを止めて、消化力をつければいいのです。

あなたが便秘で困っているようでしたら、一人で悩まず相談してくださいね。
子宮筋腫やチョコレート嚢胞が大腸を圧迫している、大腸にポリープや腫瘍があるという器質的な便秘でなければ身体を調えれば便秘は解消されるはずですよ。

それでは、今日も読んでいただきありがとうございました。

謝謝!!
再見!!

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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