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中国医学では「肥満」、「太る」をどのように考えるか??

ニーハオ!ひいろです。
韓国人の名前が似ているので(僕にとっては)、苦戦しましたが、ようやくTWICEのメンバーの名前を覚えました。
今度は漢字でフルネームを覚えたいと思います。

さて、本日は中国医学では肥満をどう考えるかをお伝えします。
僕が尊敬して止まない老中医李可先生によると、太る原因は身体の弱りであると言うのです。
李可先生はこう表現しています。

十個胖子九個気虚。
訳:十人太った人がいたら、そのうち九人は気虚である。

つまり、太る原因は気虚です。
今日の話はこれが全てです。
いかに気虚を改善するか、ということです。

気とは生命エネルギーをいいます。
気には身体を温め、血液を動かす力があり、皮膚を潤し細菌・ウイルスなどが体内に侵襲するのを防ぐ作用もあります。
それから、汗が漏れ出ないように毛穴を閉じて置く作用もあります。
もちろん、内臓が絶え間なく動き続け、活動してくれるのも気の作用です。
滞りなく、順調に生命活動ができるのは気が充実しているからです。

気が不足すると、身体の中から不必要な老廃物質を排出できなくなります。
ゴミがたまって来ると考えてもいいでしょう。
年齢と共に、体内にゴミは蓄積してきます。
李可先生は、気虚が基礎になると「ある事」が身体に起こると提唱されています。

痰湿瘀濁堆積於三陰経
訳:痰、湿、瘀、濁、が三陰経に堆積する。

と言うのです。

「痰」はネバネバしたあの「痰」もそうですが、水垢のようにこびりついたものも該当するでしょう。
「湿」は梅雨時期のジメジメしたあのカビの生えそうな、嫌な感じを思い出してみてください。
「瘀」は沈殿した泥のようなもので、ドロドロした血液や血栓と考えてもいいでしょう。
「濁」は文字通り、濁ったリンパや体液と言えるかもしれません。

これらの冷たく、濁った、べっとりとしたものが体内に蓄積している状態が「肥満」です。

経絡には陽経と陰経があります。
陰経、すなわち、身体のより深いところに「痰、湿、瘀、濁」の邪気が堆積すると言うのです。
それぞれ、暗くて重い「陰性」の邪気です。
肥満とは、身体の機能を妨げる物質や要素(邪気)が蓄積した状態であると言うのです。
実際に、臨床の現場で肥満の方を治療していると、李可先生の学説が理に適っていると感じます。

久しぶりにクレープを食べました!生クリームのダブルです。でも、意外と小さいので僕の中ではカロリーは半分程度です。

邪気がたまっている身体の状態を河川で例えるならば、水量が少なく川の流れが悪いとゴミがたまり、水質が汚れてしまうのと同じです。場合によっては悪臭が立ちこめます。

太るのは、陽気の不足も関係します。
陽気が不足すれば、当然、冷えがたまりやすくなります。
冷たいものをよく飲んだり、食べたりすれば、身体は冷えます。
一日中クーラーに当たり続ければ身体は冷えます。
結果、生命力の根本である「陽気」を消耗することになります。

水を飲んだだけで体重が増えてしまう人もいます。
さらにひどいと、空気を吸っただけでも太るという人もいます。
ここまで来ると、かなり代謝が落ちているので、運動しても痩せるのは難しいでしょう。
状態が芳しくありません。

あとは、太っている人は、普通に食べ過ぎであることも否めません。
これはご本人も自覚があることがほとんどです。
食べ過ぎで、消化が間に合わず、体内に蓄積したものを「食滞」と言います。
これも気血の流れを阻害しますので、病気の原因の一つになります。

運動すれば痩せると思っている人が多いのですが、基本的に全ての運動は消耗に属します。
気血を巡らせるには運動は大切ですが、ただ運動すればいいわけではありません。
体力、病状、その時の体調によって運動内容を調整する必要があります。
ひたすら運動するだけでは気を消耗するだけで、元気になるどころか、返って不調を増すだけです。
ましてや、肥満は気虚と関係しているのですから。

ここまで読み進めて頂けると、ただ運動をしただけでは健康になれないのがおわかりになったことでしょう。
まずは、気虚を改善する必要があります。
それには睡眠、食事、休息が重要です。
亥時(21~23時)に寝るだけでも回復具合が全然違いますよ。
これは僕自身、何回も検証していますが、子時(23~1時)を過ぎて寝るのでは次の日の体調が違います。
ぜひ、あなたも試してみてくださいね。

運動についてはまた別の機会にお伝えしますね。
具体的な解決策は、個人の体質と病状によって異なるのでここでは触れません。

ただ、お灸は身体の冷えを散じて、温めるので回復するには非常にいい方法です。
お灸と言っても、やけどするような方法ではなく、温かく気持ちがいい棒灸がお勧めです。
また、気虚ですので、静功を中心とした気功を練習するのも一つでしょう。
そういうことで、身体を回復させなければ痩せることは難しいです。

繰り返しになりますが、無理に激しい運動や自己流の食事制限で体重を減らせても、健康を損なっては意味がないですよね。
それでは、元気な毎日をお過ごし下さいね。
身体健康!!
万事如意!!

山西省の老中医李可先生(1930~2013)。心臓、腎臓、肝臓、脳などの重症患者を中国医学で救い続け、一生を人民の健康回復に捧げた先生です。顔がすごいですよね。本当に良い表情をされていますよね。素晴らしい先生が次々とこの世を去ってしまわれるのは、何とも寂しいことです。漢方薬で「生きるか、死ぬか」の治療ばかりをされていたので、症例集を読むと興奮します。

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • よく邪気という言葉が出ますが、中医学では邪気の反対語は何ですか?辞書で邪の反対語は正とありますが、正気の反対語は狂気となってます。お忙しいところ、すみません。

    • 邪気とは気血の流れを妨げる要因であり、病理産物です。
      反対の言葉として使われるのは、中国医学の教科書には「正気」と表現しています。
      「扶正祛邪」とも言いますからね。
      「正しいを扶(たす)ける」、「邪を祛(はら)う」と言います。
      ただ、「真気」と表現する人もいるようです。
      僕個人としては「邪(よこしま)な気」に対しては、「正気」を使っています。
      「狂気」というのは、ここでは意味合いが異なってくるので違うように思います。

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