English Page is HERE

それって何ですか?経絡学と構造弁証についてのお話。

ひいろです。
ブログの記事を書いている娘たちが遊んでほしくてやってきます。
全然、仕事が進みません…。
でも、頑張ります!

さて、昨日の記事で「経絡学」と「構造弁証」について触れたのですが、よくわかりませんという質問をいただきました。
ありがとうございます!

本日は、「経絡学」と「構造弁証」とは何か?ということと、なぜ大切かについてお伝えします。
当初予定していた「北京で身体を壊した話」については後日発表しますね。

さて、中国医学には経絡という概念があります。
生命エネルギーである「気」が流れる通路を「経絡」といいます。
本来、「経」と「絡」は別のものです。

身体の深部を走行していて、肉眼では見ることができない流れを「経」といい、経脈と称します。
身体の表面を走行しており、肉眼で確認できる流れを「絡」といい、絡脈と称します。
ただ、便宜上、通常は「経絡」とまとめていいます。
ですので、本文でも特別な時以外は「経絡」と表現します。

中国の鍼灸書や中医基礎理論の教科書には「経絡学とは、経絡系統の生理機能、病理変化および臓腑と経絡の相互関係を研究する学説である」と記載されています。
実は、経絡の走行を流注(るちゅう)といいますが、どの経絡がどこをどのように流れているかは非常に大切です。
それから、経絡が上から下に流れているのか、下から上に流れているか、を知ることは臨床的には大変重要なことです。

経絡の面白いところ、もしくは優れているところは診断のよりどころであり、症状や病気の出現する場所でもあります。
と同時に、直接治療が可能なところでもあるのです。

「寧失其穴、勿失其経」という言葉があります。
つまり、「ツボが外れていても良いが、経絡は外れてはいけない」というのです。
ツボに関する本が一般書でも出版されていますが、ツボの取り方が説明されているものがあります。
あまり知られていないのですが、ツボは「活きている」ので、同じ人でも今日と明日とでは同じツボがズレることがよくあります。
それは体調や環境、天候とも関係しているようです。
また、「具体的なツボの位置が異なっていても、どの経絡に病があって、どの経絡を治療するか、を明確にしなくてはならない」とも解釈できるかもしれません。

 

ステーキよりハンバーグ派です‼見た目は非常に美味しそうですが、残念ながら見掛け倒しでした…。

診断と治療同時に使える便利な経絡。
どの経絡がどの臓腑とつながり、どの臓腑に病があるとどの経絡に症状が現れるのかを明確にすることで、現代医学では原因不明の症状が解消されるということも少なくありません。
重点はあくまでも機能にあります。
そういう理由で、鍼灸治療をする際には経絡学は非常に重要なのです。

ちなみに、一般書や鍼灸学校で目にする「経絡」は「十二経脈」と「奇経八脈」の中の「督脈」と「任脈」の14本です。
十二経脈は左右で24本です。それと督脈1本、任脈1本です。なんだかややこしいですよね。

経絡上に点在しているポイントがツボです。
ツボは、正式には「経穴」もしくは「兪穴(ゆけつ)」といいます。

中国医学の思想では、人は天地の間に生きているというものがあります。
その時、「天の気」と「地の気」の間に人がいますが、「天地の気」と「臓腑」は経絡と経穴を介して気の交流が行われます。
これは気功と関係している内容ですね。
ですので、気功を練習していれば、より深い理解をする上では経絡学が必要になってくことでしょう。

そういうことで、経絡学が重要であるということが少しでもわかって頂ければ、と思います。

それから、「構造弁証」です。
中医学では診断する時に、「弁証論治」という手法を用います。
病の性質を識別し、病がどの位置にあるかを知る方法です。
患者さんの気血の状態が充実しているか、空虚であるかを知ることも必須です。
病の性質がわからなければ、冷やすのか温めるのかを決められません。
病の位置がわからなければ、目的地を決めずに旅に出るようなものです。
患者さんと病の状態と性質を把握し、どのよう治療するかを決定するのが「弁証論治」です。
中国医学は機能性を重視する医学です。
そのためか、解剖学的な構造の話が臨床の現場で語られることがほとんどありません。

しかし、解剖学がなかったわけではないようです。
2000年前に書かれたとされている中国医学の経典である『黄帝内経』に解剖の記載がありますが、現代医学の解剖学と比べても非常に正確な内容であると言われています。

例えば、足首を内側に捻ってしまう捻挫をした場合、外くるぶし付近を痛めてしまいます。
この時、内側に捻ってしまうと足の外側にある腓骨という骨がかかとの方に下がってしまいます。
鍼灸や漢方で血流を改善し、痛みが消えたとしても、腓骨が下方変位したものは通常、自然には治りません。
そうなると足首のケガがもとで膝がねじれ、骨盤がゆがみ、背骨がゆがみ、頭蓋骨がゆがんでくることがあります。

骨格にゆがみがあれば、当然、経絡にもゆがみが生じてきます。
気血の流れが滞り、症状が出てくることになるのです。
身体の構造が崩れることによって起こる症状は構造を正す必要があるのです。
これが、僕の師匠が提唱した「構造弁証」です。

中国医学は常に進化し続けていると言っても過言ではないでしょう。

そんな訳で、本日は「経絡学」と「構造弁証」についてでした。
それでは、再見!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

プロフィールの詳細はこちら

コメント

コメントする

目次