暗耗(あんもう)、知らずに命を削られるというお話

ひいろです。
今後のブログ記事で紹介するために、留学時代の写真を探しています
どこにあるのか見当がつきません。
やばいです…。

中国医学では、気づかない内に生命エネルギーを消耗することを「暗耗(あんもう)」といいます。
なぜだか疲れが取れず、だるさや不調が続くという経験をあなたはしたことがありませんか?
食べ過ぎ、飲み過ぎ、夜更かし、働き過ぎ、運動のし過ぎなどでも体力は消耗します。
これらも「気」を枯渇する原因ですよ。

病気の原因の一つに「七情(しちじょう)」があります。
七情とは「喜」、「怒」、「憂」、「思」、「悲」、「驚」、「恐」をいいます。
上記の感情は特定の「臓腑」と関係しています。
これらの感情を過剰に感じた場合に病気になります。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」とはよく言ったものです。

「喜」は心臓と関係します。

「怒」は肝臓と関係します。

「憂」と「思」は脾臓と関係します。

「悲」は肺臓と関係します。

「驚」と「恐」は腎臓と関係します。

 

今回は「七情」と「五臓」については「こんなものがあるのか」という認識で大丈夫です。

さらっと読み流してください。

「恨む」、「憎む」、「嫉妬」、「後悔」、「懺悔」という感情はどこに入るのか今後の検証が必要でしょう。

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古代中国人は心臓が精神活動全般を統率していたと考えていました。

中国医学の経典『黄帝内経』・『素問・霊蘭秘典論』には「心者、君主之官也、神明出焉。」という記載があります。
「心は君主の官である。」「君主」とは封建社会の最高統治者をいい、心臓が非常に重要な役割を占めている例えです。

現代医学では精神活動をつかさどるのは脳というのは誰もが知っていることでしょう。
しかし、中国医学では心臓がそれを行っていると考えました。

「心主血脈(心は血脈をつかさどる)」という言葉があります。
精神活動が過度になると血液の流れに影響がでます。
現代医学では緊張すると交感神経が優位になるので、血管が縮小するので血液供給が停滞すると考えられるでしょう。
この状態が続けば、身体の隅々に酸素と栄養が行き渡らなくなるので病気になります。

以前、鼻炎と腸炎で来院された患者さんがいました。
この方は腹痛のため、日常生活ができない状態でした。
治療をするとある程度よくなるのですが、少し気温が下がったり、天気が悪くなると腹痛が再発するのでした。
不思議に思ったので、今の気持ちについてお話を聞いてみました。
すると実のお姉さんに対する感情を話してくれました。
小さい頃から20年以上もいじめられ続けていたのでした。
あまりにも激しい虐待を見かねて、ご両親はお姉さんを家から追い出したというのです。
実家に帰るとお姉さんと過ごした日々を思い出し、お腹が痛くなることがあるというのです。
お姉さんのこと思い出すと全身の皮膚が炎症をおこし、数か月も治らないこともあったそうです。
その方は、日々、療養しているのですが、全く症状が改善しませんでした。頭の中はお姉さんに対する憎しみと怒り、恐れでいっぱいだったからです。

世の中、大きな問題が起きているのは平たく言えば人間関係です。
友人、親子、恋人、隣人、民族間、国家間での争いも全て人間関係です。
何もしていないはずなのに、相手のことを考え、負の感情を持ち続けるだけで生命力がガンガン削られます。
ドラゴンクエストで毒の攻撃を受けると、戦闘が終わった後も、歩くだけでダメージを受け続けるような感じです。

その患者さんに「このままではあなたは健康を取り戻すことが難しいので、お姉さんを許す方法を一緒に考えてみませんか?」と提案したところ、「許すことは無理です」と拒絶されてしまいました。

お姉さんを変えることはできないでしょうから、自分が変わるしかないのですよね。
許すことは、自分自身を救うことなのです。
もちろん、許したからと言って、腸炎が治るかどうかは、その時になってみないとわかりませんけどね…。

頭の中が忙しく動き続けていると、身体は動かしていないのに「気」を消耗して、元気がなくなりますよ、というお話でした。
僕の中国医学の解釈は教科書の内容と少し違うところがあるかもしれませんが、一般書や教科書と違うところを探して、ぜひお楽しみくださいね。

それでは、再見!

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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