ひいろです。
最近、時間がゆっくり流れている感じがします。
ただ、のんびりしていると歳ばかりとってしまうので、頑張っていきます!
「功夫」を積みます!!
さて、お料理の話をしましょう。
中華料理と言えば、北京料理、上海料理、広東料理、四川料理の四大料理がありますが、どこの料理に属すわけではありませんが「火鍋」というジャンルの料理があります。
日本でも鍋料理といえば、東西様々な種類があります。
もちろん、中国にも豊富な種類の鍋料理があります。
漢方薬を入れて出汁を取るもの、キノコがメインのもの、スッポンで出汁を取ったもの、烏骨鶏で出汁を取ったもの、激辛で一口も食べられないようなもの(辛すぎて僕は食べられなかった)、中国のモツ鍋など様々な火鍋があります。
その中でも、北京の伝統的な火鍋である「涮羊肉」についてご紹介します。
あなたも今日はメモの準備を忘れないでくださいね。
そもそも、「涮羊肉」の「涮」は「さっと湯通しして食べる」という意味です。
つまり、「羊肉のしゃぶしゃぶ」です。
羊肉といえば、独特の香りを「羶気」と呼びます。
あの匂いが苦手なんだよなぁ、というあなたもご安心下さい!
新鮮な羊肉はあの独特な香りがほとんど気にならず美味しくいただけますよ。
通常の涮羊肉は、冷凍した羊肉を機械で薄くスライスして皿に盛るのですが、室温で自然に解凍されてきます。
そうすると、細胞膜が破壊されるので、お皿に血が付着します。
これでは、見ているだけで食欲が減退しますよね。
しかし、今日ご紹介する老舗「爆肚馮金生隆」で出される羊肉は違います。
内蒙古で生まれた子羊を北京周辺の河北省まで輸送し、ある程度大きくなるまで育て、屠殺してすぐに北京のお店に運んでくるため、非常に新鮮です。
羊肉を乗せて出されるお皿に血がつかないだけでなく、逆さにしても肉が落ちません。それだけ新鮮なのです。
金生隆は清朝光緒19年(1893)に創業した老舗です。
北京の伝統料理、「涮羊肉」と「爆肚」が食べられるお店です。
「爆肚」とは北京の伝統的な食べ物で、牛と羊のホルモンです。
回族の人々の食べ物で、早くは清朝乾隆年間(1736~1795)の文献にその名を見ることができるそうです。
羊肉の新鮮さが他のお店とは次元が違います。
おそらく、日本ではこれほど新鮮な羊肉を食べることはできないと思います。
ただ、先日横浜駅の近くに羊肉を食べられる居酒屋さんを見つけました。
なんと北海道産の羊肉です。ラムは臭みもなくとても美味しかったです。
ただ、カウンターで一人ジンギスカンを食べるのはちょっと寂しかったです。
だって、みんな家族連れでしたからね…。
さて、羊肉の作用は「味甘、性温にして不燥、補腎壮陽、暖中祛寒、温補気血、開胃健脾」、つまり、身体を元気にしてくれて、冷えを取り除くという効果があるとされています。
特に冬に食べると身体を温め、気血を補います。
虚弱体質の人、冷え性の人には非常にいい食べ物です。
行き方
鼓楼大街と安徳路の交差点を西に100メートルほど進むと六鋪炕胡同という道が北(右手)の方角に見えてきます。
東西南北がはっきりしていますので、慣れてしまえば北京の道は大変覚えやすいです。
その通りに入って5~6軒目に「爆肚馮金生隆」というお店があります。
オススメの食べ方
火鍋は自分の好きなものを好きなペースで食べるのが醍醐味です(あ、これは一人鍋のペースかな…)。
ちなみに、僕は鍋奉行より厳格な進行を旨とするため、家族からは「鍋将軍」と呼ばれています。
まぁ、娘たちは鍋を食べないし、妻はあまり鍋に興味を示さないの、ほとんど僕の一人鍋ですが…。
老中医張士傑先生(1931~2016)から教えて頂いた食べ方をご紹介します。
羊肉以外に入れる具は白菜と粉絲(緑豆でできた春雨)。
そして、一度冷凍してから解凍した豆腐のスライスである「凍豆腐」の三種類だけを食べます。
凍豆腐は一番はじめに鍋に入れておきます。
お鍋が沸騰しても、まだ凍豆腐を食べてはいけません。
羊肉だけを最初に食べます。
羊肉が食べ終わった後に白菜を入れます。
羊肉と野菜は一緒に入れてはいけないというのです。
羊肉は加熱し過ぎると硬くなるので味が落ちるので駄目だそうです。
張先生の一番弟子藤原大輔氏(張士堂院長)は野菜の中に肉を投入したことで、張先生にものすごく怒られていました。
「あ~ぁ、もう肉が固くなってしまったじゃないか。あぁ、もう終わりだ…」と言われていました。
張先生は食べ方に非常に厳しかったです。
凍豆腐は白菜と羊肉の旨味がしっかりとしみ込んだ最後に食べるのが通であるというのです。
胡麻ダレ
金生隆では、火鍋を食べる時に使うのは胡麻ダレです。
日本の胡麻ダレと全然違います。
金生隆の胡麻ダレは秘伝のため、材料と配合についての詳細はわかりません。
タレには白ネギと香菜(パクチー)のみじん切りの存在だけは認められます。
食べ終わった最期の仕上げに、羊肉と白菜や春菊、豆腐などの出汁がたっぷり染み出た鍋のお湯を残った胡麻ダレと混ぜ、香菜のみじん切りを一つまみ入れて飲むと、栄養たっぷりの即席スープのできあがりです。
他店の胡麻ダレは全部飲み干すとのどが渇くのですが、金生隆のタレは違います!胡麻ダレなのにさっぱりとしていて、食後ものどが渇かないのです。
羊のモツ「爆肚」
「爆肚」を食べるタレも胡麻ダレですが、火鍋のもの種類が異なります。
より淡白でモツの触感に大変合うものです。
タレは色にムラがなくなるまでしっかりとかき混ぜてから食べないとだめです、と店員さんに注意されました。
「焼餅」という何層にも練り込んで焼いたパンに似たような小さなまんじゅう様の食べ物があります。
これも北京ならではの食べ物です。
表面には胡麻が付着しており、焼きたてなので香ばしく食欲が湧いてきます。
外からではわからないのですが、一口食べてみると中が年輪のように幾層にもなっています。
この「層」が多ければ多いほどいいとされているようです(張士傑先生による)。
金生隆でもう一つ欠かせないのが「酸梅湯」という伝統的な飲み物です。
「酸梅湯」も胡麻ダレ同様に秘伝ですが、大まかな材料は:烏梅、陳皮、甘草などの漢方薬と氷砂糖で甘く味付けしています。
店内には自家製酸梅湯の紹介として「消渇解膩」の文字が見られます。
つまり「渇きを消して、油っこさをとかす」ということです。
酸梅湯の烏梅を煮出した燻製のような香りが苦手な人も少なくないようです。
羊肉をたっぷり食べても、漢方薬の力を借りて消化を助けるという中国人の生活の知恵です。
こんなところにも中国医学の恩恵を受けているのには驚きです。
金生隆の火鍋を食べたら最後、他のお店の涮羊肉は食べられなくなるのは必至です。
このお店に連れて行ってくれた大学院の先輩に感謝しています。
おそらく、金生隆を超えるお店を探すのは至難の業と言えるでしょう。
だからこそ、僕はこの老舗をこう呼んでいます。「火鍋之王、金生隆」と。
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