ニーハオマ?ひいろです。
『らんま1/2』という漫画の中では呪泉郷の中国人ガイドは驚いた時に「アイヤー!」と言っていましたが、実際は「アイヨー」をよく使うようです。
中には「アイヨエー」と言う人もいました。
さて、2007年7月、ある日のこと。
結婚式の打ち合わせのため、一時帰国することになりました。
ちょうど、日本からお世話になっている方が来ている時でした。
帰国前日、お世話になっている方と食事をして、明日一時帰国する旨を伝えて別れました。
翌朝7時には空港に到着し、出国手続きを無事に終えて、あとは搭乗開始の合図を待つだけです。
この頃、北京空港では出入国手続きをする職員はにこやかに対応するようになっていました。
2008年のオリンピック開催を目前に、明らかにサービスが向上したのです。
パスポートを受け取る職員は笑顔で対応してします。
やはり、中国も大きく変わって来ているのだな、と感じた瞬間でした。
あと30分ほどすると搭乗手続きが始まります。
ゆっくりと時間が過ぎるのを感じていると、僕の携帯電話が鳴りました。
それは、例のお世話になっている方からでした。
「日色君、今どこにいるの?」と。
「え?今ですか?空港にいて、もうすぐ搭乗手続きが始まりますが、どうされたのですか?」と僕。
「困ったことが起きてな…。今から、ホテルに戻って来てくれないかな?」
「え?!今からですか?!」
30分もすると搭乗手続きが始まるというのに、今から戻ってきて欲しいと言われたのです。
「事務員にキャッシュカードを渡すのを忘れてしまってな。今日中にカードを渡して、振り込まないと当社の信用に関わるのだよ。君、今からわたしがいるホテルに取りに来てくれるか?」と。
「わかりました!今すぐ戻ります!」と快諾したふりをして、仕方がないのでかなり渋々ですが、北京市内のホテルに戻ることにしました。
後にも先にも出国審査が終わった直後に、再び入国手続きをしたのはこの時だけです。
まずは搭乗口にいる航空会社のスタッフに事情を話し、再度入国手続きをしないといけません。
「実は、私の先生の会社で問題が起きたので、今すぐ市内に戻らなくてはならなくなったのです。」
この時、僕はわざとこのスタッフの男性に中国語でしっかりと事情を伝えたのです。
なぜなら、この男性に事情を説明しておけば、これから入国手続きの際に、僕の代わりに空港スタッフに説明してくれると考えたからです。
僕が中国語で話をするよりも順調に話が進むはずだからです。中国留学生活五年間で身に着けた知恵でした。
男性は、事情はわかったので、手続きをするための部署に連れて行ってくれると言ってくれました。
通常、スタッフしか入れない所に連れて行かれたのを記憶しています。
空港の裏側というのでしょうか。
すると、連れて行かれたのは空港警察の元でした。
そこにいたのはハンサムな男性警察でした。
半袖からは丸太のように太い、鍛え上げられた筋肉です。あたりでは他の空港警察もあわただしく仕事をしています。
先ほどの男性スタッフとハンサム筋肉が会話をしています。
「事情があって、再入国手続きをしにきました。」と男性スタッフ。
ハンサム筋肉は言います。「今、連絡します」と。
しばらくすると、そこに現れたのはどうみても只者ではない中年男性です。
ハンサム筋肉が敬礼します「李隊長!」
李隊長、今でもあの雰囲気を覚えています。
出国手続きをしているスタッフの笑顔は対外的なもの。
李隊長は表情を全く変えません。
そして、男性スタッフに言いました。
「何だ、こいつは?」
絶対に「こちらの方はどなたですか?」という中国語のニュアンスではないのです。
李隊長、オーラが尋常ではありません。
僕は男性スタッフの表情を見ると、僕と目を合わせてくれません。
スタッフ、頑張れよ!と思いましたが、これは自分で状況を話す以外ないことを悟りました。
もうね、李隊長、顔だけじゃなくて、空気がおっかないんですよ。
その場の空気が凍りつくというか…。
そこで、僕の必殺技、「外人アピール」。
「ワタシニホンジン、ワタシノセンセイノカイシャ、モンダイオキタ。イマスグホテルニカエルアルネ」みたいな感じで李隊長に伝えました。
普通は、中国人は親切なので「おお、そうかお前日本人なのか。それは大変だったな」となるのですが、李隊長は、外人アピールに全然びくともしません。
「そういう訳で、北京に市内のホテルに行かないと非常に困るのです」と必死で伝えると、李隊長は「わかった。こいつを連れていけ」と男性スタッフに促し、入国手続きをする部署に連れて行ってくれました。書類に必要事項を書いて、無事再入国ができるようになりました。
そして、その時、すでに男性スタッフは笑顔を取り戻していました。
そして、僕に言いました。
「良かったね。もし、君があそこで文句を言ってごねていたら、再入国許可は下りなかったと思うよ」と。
おそるべし、李隊長の権限…。
ようやく空港の外に出て、タクシーに乗りお世話になっている方のいる市内のホテルに向かったのでした。
ちょうどその時間帯は通勤ラッシュ。道路は交通渋滞真っ只中。
なかなか到着しません。
一時間かけてホテルに到着しました。
ホテルの部屋に到着すると、お世話になっている方から一言。
「帰国の時に悪かったね。まぁ、キャッシュカードはなくてもいいんや。金庫にもう一枚あるから。別に戻ってきてもらわなくても何とかなったんだけどね。」
「え…、そうなんですか…。」
「こういうものは、人の手を煩わせたことの重要性をわからせないかんのや」と言うのです。
「……」
僕、絶句…。
まぁ、はらわた煮えくり返るとはこのことでしょうね(笑)。
この後、僕の腰痛が悪化したというのは以前お話した通りです。
我慢の限界を超えてしまったのでしょう。
でも、中国の警察にあんな大物の武闘派の存在を知ることができたので、本当に良かったです!!
と、言うことで中国警察の裏側といいますか、真の姿といいますか、すごいものを見てしまったというお話でした。
それでは、再見!!
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