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中国四大薬都、安国にて

ひいろです。
今日は一日雨が降っていましたね。
寒さのせいもありますが、今回の記事を書いていたら中華料理が食べたくなりました。

さて、河北省に安国という街があります。
安国市は漢方薬の四大市場の一つです。
中国では最大級の漢方薬の市場であり、中薬文化発祥の地の一つです。
「薬都」や「天下第一薬市」と称されます。
安徽省亳州、河南省禹州、江西省樟樹と共に「中国四大薬都」に数えられます。
また、僕の鍼の師匠鄭魁山先生(1918~2010)は安国出身です。

研修で安国市を訪れ、紅景天という漢方薬を探し歩いた時のことです。
紅景天は血中の酸素濃度を上げるため、高山病の予防にも使われます。

また、中枢神経のバランスを調整する作用、抗炎症作用、抗酸化作用、強心作用、血糖値が上がるのを抑制する作用などがあります。
チッベト、黒竜江、吉林などが主な産地ですが近年は乱獲のため品薄になっているようです。

補虚薬として使われ、その性味は「甘」、「寒」です。
作用としては「健脾益気」、「清肺止咳」、「活血化瘀」があります。

街全体が漢方薬を取り扱っているので、この店は朝鮮人参専門店、このお店は霊芝を専門店のようにたくさん卸のお店があります。
本当は写真があれば、イメージしやすいのですが、今回は文章だけで失礼します…。

もちろん、僕が一人で食べました。奥のラーメンは蘭州の「牛肉麺」。たびたび、写真で紹介しているかもしれませんが、当然違う店のものです!見た目は似ていても味が微妙に違います。毎日でも食べられます!

しばらく辺りを訪ね歩いてみたのですが、紅景天を売っているお店が見つかりません。
これでは、紅景天を買えずに北京に戻る時間になってしまいます。
そこで、40代くらいの男性がいたので、尋ねました。
「紅景天を探しているのですが、どこで買えますか?」
男性は言いました。
「紅景天を探しているのか?それらなら知っている人に聞いてあげるけど、君は日本人か?」

だいだい、日本人か?と聞かれると日本のサッカーは素晴らしいという話をする人と旧日本軍の話をする人が多いので、何と言われるか待っていました。
すると男性は「〇〇〇〇〇〇?」と言うのです。
最初、何と言ったのか聴き取れなかったので、もう一度言って欲しいと伝えました。
「おれと〇〇してくれ」と言うのです。
やはり、聴き取れなかったのでもう一度言ってもらいました。
すると男性は「おれは日本人に会うのが初めてだから握手してくれ」と言うのです。
僕たちは熱くしっかりと握手をしました。

男性は横にいた別の男性に嬉しそうに「こいつら、日本人だぜ。おれ、握手してもらったぜ」とものすごく自慢していました。
彼のことがものすごく愛おしく感じた瞬間です。
まさか、このタイミングで握手を求められるとは思っていませんでした。

それを見ていた更に別の男性が近寄って来ました。
「なんだ、お前たちは日本人か?」と言うのです。
なんか面倒な流れになりそうで、嫌な感じがしました。
近寄って来た男性が20~30m先を指差して言うのです。
「あそこにあるおれのバイク、日本製(KAWASAKI)なんだが、故障してしまってね。お前は日本人だろ?見てくれないか?」
まさか、そう来るとは思いませんでした…。
日本人だけどさすがにバイクの修理はできませんよね(笑)。
もう、笑ってしまいました。
とても真面目な顔をして言うものですから。

二人とも言うことが意外過ぎたので、僕の中国語の聴き取り能力を疑ってしまいました。
和やかな時を過ごし、引き続き紅景天を探さなくてはいけません。

握手した男性の知り合いの女性がちょうど通り掛かりました。
男性が事情を伝えてくれると、その女性が、その店なら知っているから連れて行ってくれるというのです。
先ほどの男性たちに別れを告げ、紅景天を売っているお店に向かいました。

またしても、僕の頭をよぎったのは「もしかして、店に連れて行くから手数料をくれ、なんて言われるのかな」ということでした。
北京では手間賃をよこせと言われた事があったからです。

そうこうしているうちにお店に着きました。
女性は店主に「彼は紅景天を探している」と伝えるとすぐに帰って行きました。
本当に親切に連れて来てくれただけでした。

中国では騙されたことが多々あったので、先入観で安国の人々を見てしまいました。
観念というものが常にあるのですね。「握手の男性」は僕の中では日中友好大使に任命されています。
「バイク修理を頼んだ男性」も僕の中で永遠に語り継がれるでしょう。

無事に紅景天を手に入れて、北京に帰るため、バスの待つ場所に戻ったのでした。

日本のメディアで報道されている中国が全てではありません。
鄭先生の診療所がある甘粛省蘭州市にいた時によく行っていた食堂の若い店員さんは、僕が日本人であることを伝えると「日本?それは汽車で何時間で行けるの?」と聞いて来ました。
日本を知らなかったのです。当時の僕は本当に衝撃的なことでした。

親切な人もいますし、人を騙そうとする人もいます。
日本が大好きな人もいれば、日本が大嫌いな人もいます。
日本を知らない人もいるのです。日本に興味がない人もいるでしょう。
でも、その多くがまだ日本に行ったことがない人です。

日本においても同じことが言えるかもしれません。
中国に行ったことがない人が、中国を嫌いになるなんて、なんだか不思議な感じがします。
カレーを食べたことがない人がカレーを嫌いになる、喰わず嫌いと同じです。
と、そんなことを考えてしましました。

まぁ、そうは言っても、僕も約10年の留学期間中、どこをどうやっても中国が嫌で日本に帰りたい時期がありました。
でも、不思議なもので、それを通り越えると、嫌だったところさえも良いなと思えるようになってしまいました。
クレイジーと言われればそれまでですが、そんな感じです。

もちろん、あなたは中国を無理に好きになる必要はありません。
でも、中国の麺は絶対に美味しいですから、これだけは食べに行って欲しいです。
え?別に麺もそれ程、好きじゃあないですって?
他にも美味いものがありますよ。

それは次回お伝えしますね。

ぜひ、お楽しみに!!

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この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • この安国での一幕、私は日色先生の隣に居ましたが、全て驚愕の事実です。歴史的一件に立ち会えたことを幸せに思います。更に驚いたのが、最初に入った数軒では日色先生の中国語が流暢で日本人だと気づかれなかったことです

    • コメントありがとうございます。
      本当に懐かしいですね!
      知られざる中国人の純粋さと友好的交流。
      光陰矢の如し、とはよく言ったものです…。

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