English Page is HERE

不妊の人に共通すること。~中国医学では不妊をどのように考えるか?~

はやいもので4月が始まりました。
なかなか暖かくならず、カゼを引いている人が毎日来院する今日この頃。
花粉症と相まって、かなりつらそうな季節です。
毎日患者さんに鼻鍼をやっています。

 

さて、本日は不妊について中国医学ではどのように考えるかをご紹介したいと思います。
妊娠出産は神の領域であるというのが私個人の見解です。
ですから、あえて今まで不妊について触れてきませんでした。

神の領域。

 

本当に様々なドラマがあります。

 

第一子を帝王切開で出産したため、傷口が癒着し、片方の卵管が塞がってしまい、もう片方の卵管もほぼ塞がっている状態で、不妊治療をしなければ妊娠しないという診断された人が今では3人のお子さんのお母さんです。

 

結婚13年、引っ越し、仕事をやめて妊活に集中するなど色々取り組んできたけど全然妊娠しなかった人が自然妊娠するということもありました。

 

とにかく、状況はどうであれ、妊娠する時は妊娠するようです。
中には病院では全く何の問題もないが、中国医学的に見ると大いに問題があるという方々も少なくありません。
なぜ今回、はじめて不妊について書こうと思ったのか。

 

それは、妊娠希望しているにも関わらず結果が出ない人の生活習慣があまりにもひどいからです。
数人の問題ではなく、ほぼ例外なくめちゃくちゃです。
ほとんどの方が医療機関で何らかの不妊治療を受けたことがあるか、現在治療中です。

 

一回数十万円の顕微授精を数回受けたことがあるという人もいますが、正直、もうそういう段階の話ではなくて、それ以前に妊娠するのに必要な身体の準備が全然できていません
めちゃくちゃな生活習慣では妊娠してお腹の赤ちゃんに栄養をあげることができません。
これでは妊娠するはずもなく、もし妊娠したとしても出産が大変なことになることが予想できますし、産後は目も当てられないようなことになるだろうという姿が想像できるからです。

 

日本産科婦人科学会によると

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。

日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。

女性に排卵がなかったり、子宮内膜症を合併していたり、過去に骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると妊娠しにくいことが分かっています。…

 

僕は2007年8月に結婚しました。
長女が北京で生まれたのは2009年中ごろ。
学会による不妊の定義によると僕たち夫婦は不妊だったのでしょうね。
今は4人の子供がいますが…。
定義というものは、時にいい加減であるのであまり心配し過ぎるのはよくありません。

さらに、日本産科婦人科学会によると

不妊のカップルは約10組に1組と言われていますが、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、この割合はもっと高いとも言われています。

おそらくこのデータは医療機関を受診したことがあるカップルをもとにしたものと思われますので、実際にはもっと多いのかもしれません。

 

ワンモア・ベイビー・ラボによると3組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるというデータもあるようです。

 

日本産科婦人科学会によると不妊の原因

不妊の原因は、男性側、女性側、あるいはその両方にある場合がありますが、何も原因がない場合もあります。

器質的な疾患がある場合は別として、その原因は正直よくわかりませんということのようです。

 

中国医学から見る不妊

冷え

最近は何かと「冷え」が身体によくないという話を耳にする機会が増えたのではないでしょうか?
クーラー、冷たい飲み物と食べ物、薄着によって身体が冷えると毛細血管が収縮します。
これでは生命エネルギーである「気」が身体をしっかりとめぐることができなくなります。

 

気が滞ると何が起こるか?

血が滞ります。
血の滞りがあると血が澱みます。
血がドロドロになり、局所的にうっ滞した状態が「瘀血(おけつ)」です。

長時間のデスクワークで会陰を中心に圧迫されることで直腸、子宮、卵巣など骨盤内の臓器の血流が停滞すると痔、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの疾病を生ずるおそれができてきます。

 

男性は陽に属し気を主ります。
女性は陰に属し血を主ります。

赤ちゃんを育てるのには血が必要です。
子宮内においても血は必要です。
生まれて来てから母乳で育てます。

 

これも血です。

 

血が足りないと妊娠できません。
病院における検査では必ずしも貧血の数値はでないこともありますが、中国医学から見ると血が足りない状態を「血虚(けっきょ)」といいます。

 

血虚の病態として

  • 髪の毛につやがなくバサバサしている。
  • 抜け毛が多い。
  • 痩せている。
  • 皮膚カサカサする。
  • 下の眼瞼の裏側が白い。
  • 舌の裏側が白い。
  • 爪が薄く、割れやすい。
  • 生理の時、血が少なく、2~3日で終わる。

ほとんどの病院では人工授精、体外受精、ホルモン療法などをやってくれますが、妊娠するための体質については全く考慮していません。

 

 

結婚2年の方が来院されました。
太腿が引きつって痛いという症状を訴えて来院されました。
もちろん、妊娠を希望されていました。
筋骨格系の治療をしても太腿の痛みは全く変わりませんでした。

下の眼瞼の裏を見ると真っ白でした。
下の裏側を見ても真っ白でした。
血が筋を栄養しないとひきつります。
まさに血虚の症状です。

そこで肉を食べているかと尋ねると驚きの答えが返ってきました。

ウインナーを食べています。

なんと肉、魚、たまごをほとんど食べていなかったのです。
しかもアイスが大好きといいます。
更に薄着でした。

肉を食べるようになり数週間すると太腿の引きつる感じが少なくなりました。
更に数週間すると太腿の痛みは完全に消えました。
2か月ほど連絡がないなぁ、と思っていると、妊娠の報告を受けました。
食事を変えて血が増えると妊娠するということの証明です。

中国医学の理論に則った治療と養生による結果です。
鍼灸治療だけをしていれば妊娠するというような簡単な問題ではありません。

とにかく、現代社会における問題は根深いです。

 

しっかり肉とたまごを食べるようになったら生理不順が良くなったという人もいます。

当たり前ですよね。
血の材料をしっかり体内に入れてあげるのですから。

 

だから、病院に行く前に食べ物、食べ方などの生活習慣を見直すことの方が大切です。
病院に行っても生き方が変わらなければ、永遠に同じところをグルグルと回り続けることになります。

なんだか呪いみたいで怖いですよね…。

 

日々の臨床で気づいたことをシェアしたいと思います。
もし、不妊で悩んでいる人がいたらぜひ教えてあげて下さい。

不妊で悩んでいる方の共通点

  • シャワーのみで、湯船につかる習慣がない。
  • 冷たい飲み物をよく飲む。
  • サラダをよく食べる。
  • アイスをよく食べる。
  • デスクワークの時間が長い(一日5時間以上)。
  • 運動する習慣がない。
  • お菓子をよく食べる。
  • 太っている、もしくは痩せている。
  • 肉、魚、卵をあまり食べない。

 

身体的特徴

  • 髪の毛バサバサでつやがない
  • 太っている、もしくは痩せている。
  • 皮膚カサカサしている。
  • 爪が薄くもろい。
  • 顔色が悪い(青白い、黒っぽい、黄色っぽいなど)
  • 目の下にくまがある。
  • 脚がつりやすい。
  • お腹とお尻が冷たい。
  • 手足が冷たい。
  • お腹がカチカチで固い、もしくはダブダブしていて力がない。
  • 後頭部すぐ下の首がかたい(凝っているが、凝りを自覚しない人もいる)
  • 下半身(膝まわり、足首まわりなど)がむくんでいる。
  • 舌の裏側が白い(舌の先を鼻の下にくっつけるように出すと見えます)。
  • 下眼瞼が白い(あかんべーした時の目の下)。

以上は全く科学的ではなく、エビデンスなんかもありませんが、中国医学の理論に基づき、僕自身が臨床で得た情報です。
妊娠はゴールではありません。
出産もゴールではありません。
人生は続きます。

昨日までの習慣が今の身体を作ります。
今の習慣が明日の身体を作ります。
妊娠しないのは何かが上手くいっていないのかもしれません。

 

以前、治療したご夫婦はなんと膣内で射精をしていませんでした。
風が吹いたら受粉する植物ならばいざ知らず、ヒトにはこういう機能はないよなぁ、と思った次第です。
逆に、風が吹いただけで妊娠したら大変ですよね。
『世にも奇妙な物語』にありそうな話ですけど…。

 

ほかにも、一人目のお子さんを産んでから旦那さんに触れるのが嫌になってしまったご夫婦がいました。
でも、二人目が欲しいということで、病院で体外受精の施術を受けていました。
その後、妊娠には至りませんでした。
旦那さんに触られるのは嫌だけど、旦那さんの精子はいいんだ、となんだか不思議な気持ちになったのを覚えています…。

 

何はともあれ、夫婦には色んな形があると思いますが、夫婦仲良しなのが一番だと思います。
現状を見直すことで妊娠に近づくかもしれませんよ、というお話でした。

 

そういう訳で、再見!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

傳統醫學研究所日色鍼灸院院長。
約10年の中国留学の後、横浜中華街にて開業。鍼灸学士、医学博士。
世界医学気功学会常務理事。

鍼灸、気功、徒手療法などの施術を中心に、養生(生活習慣)の取り組みから身体をサポートする。

プライベートでは、5人の子供の父親。

プロフィールの詳細はこちら

コメント

コメントする

目次