ひいろです。
小学一年生の娘が沢口靖子さんのTVドラマ『科捜研の女』に熱中している今日この頃。
「DNA」、「血痕」、「遺留品」など小学生らしからぬ言葉を覚えています。
娘に「パパの服に毛髪が付着しているよ」と言われました。
日本語は正しいのですが、何だか不思議な気持ちになりました。

僕は高校二年生の時に鍼灸大学を志願しました。
今は亡き母校、明治鍼灸大学は僕が入学した当時(1996年)、日本で初めて設立された唯一の四年制大学でした。
三年生の時(1999年)、北京で開催された中国研修に参加しました。
正直、よくわからなかったのですが、日本とは全く違う迫力を感じました。

何年も経ってからわかったのですが、中国人の先生方の鍼灸に対する情熱、意識、自信がものすごいのです。
鍼灸に対する誇りを持っているのです。
それもそのはずです、中国で鍼灸は医療なのです。

「鍼灸」と書いて「しんきゅう」、「はりきゅう」と読みます。
「鍼」は「針」とも書きますが、治療で使う「針」を「鍼」と書きます。
お店で領収書を書いてもらう時、店員さんはだいたい「鍼」、「灸」、「院」の文字を渡した名刺を見ながら書きます。
ややこしいことに僕の苗字が「日色」なので(どうやら読み方がわからない様子)、結局「日色鍼灸院」五文字全部を何回も見ながらじゃないと書けないのです。
なじみの薄い文字ばかりなので仕方がないことです…。

日本において、鍼灸は「医療類似行為」です。
この言葉、ものすごく怪しいですよね…。
日本において鍼灸という存在は、そのような扱いでしかないのです。

近所の方と僕が仕事を何しているか話すとたいていの方が「ああ、私も肩がこるのよね~、今度やってもらおうかしら」と言って空中で肩を揉むしぐさをされます。
僕は笑顔で「えぇ、そうですね~」と答えますが、心の中では「それはマッサージだぜ、奥さん。鍼灸じゃないよ!」と強烈に突っ込みを入れているというのはここだけの話…。
ちなみに、そう言って治療に来たひとは一人もいません。
どうせ鍼灸なんて何をやっているかなんて知られていないのですから…。

蘭州拉麺! 蘭州の修行時代は毎日、食べていました。三食麺を食べた後に、麺をはしごすることもありました。

2002年から2011年まで中国で学んできたのですが、留学して本当に良かったなと思うのは、「中国では鍼灸、漢方は医療である」ということを知ることができたことです。
しかも、中国人の生活に中国医学が根付いているということも。
「そんなの短期研修で一週間も中国行けばいいじゃないの、ひいろさん」
「何も十年近く中国に行く必要あったの?」

留学前に日本で複数の方々に言われたことがあります。
「本当に中国に行く必要があるのか?」
「あんなものは日本人には使えない」
「日本でやっても患者は来ないよ」

20歳ちょっとの僕は、「絶対に自分で中国を見るぞ‼」と批判をつっぱね、情熱をさらに燃やしたのでした。

という声が聞こえそうですが、僕自身が中国の空気を吸って、中華料理を食べて、中国語で中国人の患者さんと話をして、中国人の先生が中国人の患者さんと話をしている姿をこの目で見て、テレビから流れてくる情報を中国語で見聞きして、中国語で書いてある書物を自分で読むことで、中国で生活したことで僕自身が「鍼灸は医療なのだ」と感じられたのです。

結果、僕が感じたのは、どうやら医療制度そのものが異なるということでした。
医学教育そのものも異なるのです。
西洋医になる学校と中国医学の医師(中医)になる学校が分かれているのです。
どちらも「医師」には変わりません。

僕が2002年に研修していた広安門病院という中国医学の病院があります。
一日の平均外来者数は7000人。
現代医学の検査機器や手術もできる病院ではありますが、漢方、鍼灸の診療を受けるために朝六時ごろから患者さんが行列を作っています。
この病院には鍼灸科があります。
最近の平均外来者数は一日700人だそうです。

さらに鍼灸科の病棟もあります。
2002年当時、ベッド60床ほどでした。
入院患者の95%以上が脳出血や脳梗塞による半身不随による方です。
それを鍼灸、漢方、リハビリ、時には現代医学の薬を併用して治療していくのです。
病棟で研修した初日は驚愕しました。
日本ではまず来ることのない重症患者ばかりが、入院して鍼灸治療を受けるのですから。

中国人の鍼灸に対する信頼。
それを医療の中で実際に行われている現実。
24歳の僕は衝撃を覚えました。

日本でも鍼灸医学の素晴らしさを知ってもらうことができたら、どれだけの人が助かるだろうか、本当にそう思います。
僕の実力は、中国で師事した先生方にはまだまだ遠く及びません。
毎日、実力不足を痛感しています。
少しでも先生方に近づくことで、救える人が増えると思っています。
だから、心と技を磨きます。

東洋医学について少しでも知って頂くことで、あなたが今より元気になれるような情報をお伝えし、あなたが健康になるお手伝いができたら嬉しいです。
「ひいろさん、面白いですね」と思い、会ってみたいな、という気持ちになって頂けたら幸いです。
読んで「クスクス」と笑えるような内容をお届けしていきます。