今日は「反回神経麻痺は鍼灸治療で治るのか??」ということについて、私の個人的な見解を独断と偏見で述べたいと思います。
横浜中華街にある日色鍼灸院のひいろです。

 

さて、先日、「反回神経麻痺と鍼灸治療」ということで書きましたが、患者さんご本人から「先生の考え方と治療は素晴らしいから、困っている人のためにしっかりこの治療法について伝えてほしい」と言われました。
まぁ、ご本人がこのブログを読むことはないだろう、と思っていただけに本当に嬉しい言葉でした。
ブログの読者もそんなに多くないけど、少しでも困った人の力になればと思い書いています。

結論から言いますと、鍼灸治療で首周りの筋肉がやわらかくなると、声帯周りの緊張が改善されることで声が出るようになることはあると思います。
ただ、披裂軟骨の脱臼や輪状軟骨の変位などの「構造の崩れ」が原因で声が出ないという症状に対しては鍼灸治療だけでは難しいと思います。
声帯が正常な形を保つことで、正常な発声ができるのです。

ですから、声帯を構成する軟骨が歪んでいたり、脱臼していたりしていると、正常に発声できなくなります。
正常に発声できるようにするためには、歪んだのどの軟骨の位置を正常な位置に誘導する必要があります。

残念ながら、鍼灸治療は骨格の歪みを整えるのには向いていません。

これは、骨格の歪みを治せないという意味ではありません。
確かに、鍼をして5分ほど置いておくと歪んでいた骨盤が整うことはあります。

しかし、恥骨結合がねじれてしまっているような骨盤の歪みを調整することは難しいと思います。
余程腕が良ければ別ですが、構造の問題を解決するにはかなりの技術と「功夫」が必要であるというのが私の見解です。
「功夫(カンフー)」とは時間と経験の積み重ねで練り出せる技と言えます。

油潑麵(ヨウポーミィエン)。この写真だと全く麺が見えないので、美味しさが伝わらないのが残念です…。まさか、横浜中華街でこの麺を食べることができる日が来るとは思いませんでした。まぁ、それほど好きな麺ではないのですが、第二の故郷北京で食べた青春を思い出してしまう私がいます。嗚呼、青春。

鍼治療は、気の流れを通すのが非常に有効な治療法です。
徒手療法は崩れた構造を治すのに有効な治療法です。

例えば、水路が崩れていると、水の流れが悪くなります。
水の流れを良くするためには水路自体の整備と工事が必要です。
水路が整えば、水の流れは勝手に良くなります。
水の量が少なくても、流れは滞ります。

人の身体も同じです。

水路を整えて、「水」、すなわち「気血」を流すことで水路はきれいに流れるのです。
古代中国人は言いました。

「流水不腐、戸枢不蠹(流水は腐らず、戸枢は虫が喰わない)」。

「常に流れている水は腐らず、よく動く扉の枢の部分には虫がつかない」と言う意味です。
そのためには、構造がしっかりと保たれ、気血の流れが滞りないことが必要なのです。

治療で重要なのは、患者さんの病気の状態に合わせて、必要な治療法を選択して、その人が持つ生命力を高めることです。
ストレス、疲労、食べ過ぎ、飲み過ぎ、睡眠不足、働き過ぎなど、何かが邪魔をして、生命力がしっかりと働かなくなっているのが病気です。
その病気の状態から健康な状態へと導いていくのが治療なのです。

鍼灸、漢方、徒手療法、気功などを適切な方法で用いることが回復への近道なのだと思います。
もちろん、養生することで回復しやすい環境を整えることがより可能になるのです。

結論を言うと、反回神経麻痺による嗄声(声が出ない、もしくは出にくい)と思われているものの多くは披裂軟骨、輪状軟骨、甲状軟骨、舌骨などの歪みや脱臼によって引き起こされている可能性があり、それを鍼灸治療だけで回復させるのは私個人としては非常に困難なことであると思います。

ですから、原因によってはのどの骨を調整するようなやさしい徒手療法を併用することが回復への近道であると痛感している次第です。

手術歴のある人の嗄声はかなりの確率で披裂軟骨の脱臼が考えられると言えるかもしれません。
手術後に声が出なくなったのならば、ほぼ間違いないでしょう。
披裂軟骨の調整をして声が出るようになったのならば、見立ては確定ですよ。
そういう訳で、声が出ない方がいましたら、披裂軟骨周辺を調整しますので、お知らせくださいね。

それでは、注意保暖!
再見!!

青いのが披裂軟骨。私も徒手療法を学ぶまでのどの構造など気にもしませんでした。形が崩れると気の流れが悪くなります。つまり、構造が崩れると機能にも影響を及ぼします。これを無視することなどできるのでしょうか??普通の中国医学はここが最大の弱点です。